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後から後から溢れる涙はもう指では間に合わず、手探りでバッグからハンカチを出した。
「見ないでよ。放っといて」
こんな姿、誰にも見られたくないのに。
「二次会、行ってよ」
何でも見透かして私を傷めつける、嫌な男。
「いや、二次会よりこっちの方が面白いので」
「篠田なんか消えたらいいのに」
まるで面白がっているような彼に子供じみた台詞を呟くと、苦笑するのが聞こえた。
「ついに呼び捨てですね」
同時にストンと席を立つ気配。
コツ、コツ、と離れていく靴音。
じっと耳を澄ましてももう靴音は聞こえず、戻ってくる様子もない。
……本当に行っちゃったの?
一人になりたかったはずなのに、誰もいなくなった隣の席が切なくて、俯いたまま涙を零した。
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