壊される夜 ー2

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後から後から溢れる涙はもう指では間に合わず、手探りでバッグからハンカチを出した。 「見ないでよ。放っといて」 こんな姿、誰にも見られたくないのに。 「二次会、行ってよ」 何でも見透かして私を傷めつける、嫌な男。 「いや、二次会よりこっちの方が面白いので」 「篠田なんか消えたらいいのに」 まるで面白がっているような彼に子供じみた台詞を呟くと、苦笑するのが聞こえた。 「ついに呼び捨てですね」 同時にストンと席を立つ気配。 コツ、コツ、と離れていく靴音。 じっと耳を澄ましてももう靴音は聞こえず、戻ってくる様子もない。 ……本当に行っちゃったの? 一人になりたかったはずなのに、誰もいなくなった隣の席が切なくて、俯いたまま涙を零した。
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