セフレの定義

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「経企室の片桐君は同期だよね」 「…はい」 「彼が部下の深沢さんの失敗を黙って見守って、時に敢えて面子を捨てて一緒に恥をかいてるのを見ると、ああ成長したなと思うね」 「……」 「君にもそんな愛嬌があってもいいんじゃないかな? 時には一緒に失敗してあげるぐらいの。 抑えつけるばかりじゃなくてね」 「……はい」 部長が出ていった部屋で、 一粒だけ、涙を流した。 たとえ煮ても焼いても食えない部下でも、それを生かすも殺すも上司の度量。 これまでは完璧を目指して一人で走ってきたけれど、これからはそれでは駄目で。 自分のハードルを部下にも要求する私は、ただのワンマンプレーヤーなのだと。 NOを告げられたのは初めてだった。 “仕事にしがみつく年寄り亀” 「仕事にも振られたのかな…」
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