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ただ、これ以上小椋さんを刺激したくないし、抗議されたことだけ篠田に伝えたら、あとはもうあの二人に関わらないと決めた。
迂闊に話しかけると小椋さんがややこしいので、社内メールでメッセージを送る。
私用禁止なので要点だけの短文だ。
ところが、気持ちを切り替えて資料作成に集中していると、しばらくして着信アラートがついた。
送信元は“篠田陽一郎”の表示。
無愛想な篠田のことだから、返信はないものと思っていたのに。
どうせ“了解”とかだろうとメールを開いた私は、驚いて画面を二度見した。
“仕事後、あの店に行けますか?
そこで聞きます”
チラッと視線を向けたけれど、資料をめくりながらキーを打ち続ける彼はまったくの無表情だ。
“大丈夫?今日は忙しいのでは”
“今晩は現地待ちなので食事で抜けます”
もう篠田には関わらないと決めたのに。
しばらく迷った末、返信した。
“退社時メールします。
無理なら遠慮なく言って”
二人でまた会うことが私にとって正解なのか、まだ迷っていたけれど。
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