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「それ、情報源は?」
「戸川っちだから確かだよ。
篠田先輩と仲いいから」
「なるほど、確かに精鋭篠田君とおバカ友則じゃ接点ないわよね」
「最近おバカじゃないよー」
「それがバカだっての」
夫婦のじゃれ合いを聞きながら、なぜか罪もない相原君の無邪気な笑顔を張り飛ばしたくなった。
いけない衝動をこらえて引きつり笑いを浮かべる。
「でも戸川君、ロンドンじゃん。
それ赴任前の情報じゃないの?」
「戸川っちと篠田先輩、今でもたまに会社の回線で喋ってるよ。
これ聞いたのは新婚旅行の時だから最近の話」
「彼女ってどこの誰?」
思わずゴクリと喉が鳴る。
篠田はどんな人を選ぶの?
「知らないけど社外みたいだよ。
社内では遊ばないって」
「何よそれ。遊ぶ遊ばないって、彼女ってその程度の認識なの?」
「知らないよ、俺じゃないもん。
戸川っちが篠田先輩に彼女と結婚予定ないのか聞いたら、そのつもりはないってバッサリだったって」
「うわ…」
思わず声が漏れた。
あの男が言いそうな台詞だ。
無表情で。
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