2965人が本棚に入れています
本棚に追加
「嫌な味じゃないですか?
外国製品だからそこら辺が怪しいなと」
「ううん、美味しい。
味、知らないで買ったの?」
「こんなの、男が試してたら気色悪いじゃないですか。
店に居るだけで微妙だったのに」
「アメリカなら何でもありじゃない?ゲイ多いし」
何を思い出したのか、珍しく篠田が顔をしかめたので思わず笑ってしまった。
「まあ、不味くなくてよかったです」
「ありがとう。…香りも好き」
こんな小さなリップ一つで幸せな気分になれるなんて、やっぱり私はまだ女の子なんだなと思う。
「でもこれ、つい舐めちゃいそうね…」
篠田を笑顔で見上げた私の言葉は、小さくなって途切れた。
私を見下ろす彼が、真面目な表情を浮かべていたから。
最初のコメントを投稿しよう!