彼のキス、課長の提案

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*** 「じゃあ今回は小椋さんということで検討するね。 亀岡さんの推薦なら仕方ないな」 「はい。よろしくお願いします」 「亀岡さん、本当に無理なの? 君なら間違いないのに」 「ごめんなさい。なかなかスケジュールが調整できなくて。 それに変化がないと読む側もまたこの人?ってなりますから」 「でもねー…」 「彼女、華やかだから写真映えしますよ。 ではそういう方向で。是非ご検討よろしくお願いします」 渋る担当者に笑顔で頭を下げて広報室を出ると、廊下で一つ大きくため息を吐いた。 篠田とキスした夜からしばらくが過ぎた。 あれから篠田が言った“薬入りのアメ”のアドバイスをあれこれ悩んだ末、効果的と考えたのが女性誌の取材対応だ。 タイミング良く私に依頼が入ったので、今回は小椋さんに代役を務めてもらおうと、部長には既に許可を貰ってある。 広報から承諾が下りたら、 あとは本人に告げればいい。 有頂天になる姿を思い浮べると、余計に溜め息が漏れる。 「うまくやってよ、小椋さん…」
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