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子供の頃、一位を取れないと両親にがっかりされた。
以来、懸命に勝ち続けた。
勝つことが当たり前になると、膨らむのは周囲の期待だけでなく、私の失敗を待ち構える存在も増えて、余計に負けられなくなった。
高く飛べば飛ぶほど、
落ちるのが怖くなるように。
「なのに駄目出しされて。
ひたすら前に進んだはずなのに、そうじゃなかったんだなって」
「違いますよ、先輩」
篠田が静かに遮った。
「先輩がやって駄目なら誰がやったって駄目だと、そう思ってる人はたくさんいますよ」
「でも、片桐主任ならできるって引き合いに出されたわ」
「男が女を手懐けるのと女が女を操縦するのは次元が違いますよ。
そこは部長に反対です」
「…ありがとう」
言いたくても言えなかったこと、言ってくれて。
「こんなことで落ち込むなんて、
私、少し疲れちゃったのかもね」
怜の噂も半信半疑のどよめきと共にじわじわと広がりつつあった。
覚悟はしていたけれど、同情を受け流すことにも嘲笑を無視することにも嫌気がさしてきた。
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