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小椋さんは頑なだった。
『取材を受けるのは私ですから』
『もちろんその通りよ。
でも、今回初めてでしょう?』
『私のカラーを出さないと広報が私に依頼した意味がないじゃないですか』
『でも、うちの社のイメージ戦略の一環として広報室が苦労して話を取ってきてるのよ。
ある程度無難なお手本を知って臨んだ方が困った時に役立つから』
『いいえ、大丈夫です。
広報の決定を信用してますから』
…と、アンタの時代は終わった、私の時代よと言わんばかりで、まったくレクチャーを受け入れる姿勢はなくて。
まあ目的は成功でなく彼女を奮起させることなので、黙って成り行きを見守ることにしていた。
でも私の言葉を聞いた篠田の反応に、私は少し複雑だった。
「ああ…。
それで今回決まったんですね」
昨日の夕方遅くの出来事だったのに、なぜ朝一番ですでに篠田は知ってるの?
昨日はずっと席外しだったのに。
私が思う以上に二人は親密なの?
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