素肌を彼に

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「課長と今夜会うんですか?」 篠田が一歩、近づいた。 「片桐主任のせいで、あの夜あんなに泣いて違う男に抱かれたくせに」 「大きな声で言わないで」 カッと頬が熱を持った。 「それに今晩は違うわ。 相原さん達と同期会だから」 また一歩、距離が縮まる。 「課長に何を言われたんですか?」 篠田はもう目の前。 射すくめられたように動けなくて、黙って鋭い目を見上げる。 「言えないようなことを?」 彼の手が私の唇に触れ、 甘いリップをなぞった。 「もう味見させたんですか? 課長にも」
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