素肌を彼に

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会がお開きになって店を出ると、外には相原君がニコニコしながら傘を持って待っていた。 「雨が降りそうだから、梨香ちゃん濡れたらいけないと思って」 「相変わらず忠犬だわねー」 「うん、飼い馴らしてあるから」 梨香子が嬉しそうに笑う横で、美香も声をあげた。 「あっ、純ちゃんも来てる!」 妊婦の奥さんの夜遊びを心配して、それぞれの旦那様が迎えに来たらしい。 「じゃ私達東横線だから。 みんな、またね。お疲れー」 梨香子夫妻と美香達はマンションも近所で夫婦ぐるみで仲良しなので、連れ立って帰ることになった。 それぞれの方向に散りかけた時、梨香子が「あ」と振り返った。 「美紀、傘もってる? 駅から家まで結構あるよね」 「持ってないけど大丈夫よ。 まだしばらく降らないでしょ」 「亀岡先輩、これどうぞ!」 やりとりを見ていた相原君が自分のビニール傘を差し出してきた。 「俺、梨香ちゃんの傘があるし」 「そんなの悪いから…」 「いいのよ、美紀。友則は濡れたって風邪ひかないんだから」
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