素肌を彼に

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悩みに悩んで週末を過ごし、 結論の出ないまま迎えた翌週。 小椋さんは特に篠田に絡むわけでもなく、不気味に静かだった。 金曜に篠田とどうなったのか、様子を窺ってもまったく掴めない。 週末に私を苦しめたのは課長の提案よりそのことだったのに。 篠田は篠田で、今週は重要な顧客のアテンドで課長と二人、ずっと不在がちだ。 始終二人の動向を気にしている時点で、私の結論も見えたようなものだとは思うけれど。 でも本当の問題は小椋さんではなく、篠田の本命の彼女で。 というより一番問題なのは、 あの男の節操の無さ…? 「…ねぇ美紀。決めたの?」 「…えっ?」 パソコンのキーボードに手を乗せたままぼんやり停止していると、いつのまにか梨香子が横に寄ってきていた。 「決めるって、何を? なんか決裁あったっけ」 「違うって。課長よ」 「ああ…」 梨香子には月曜に散々つつかれ、課長とのことを白状させられていた。
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