素肌を彼に

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タクシーを降りて見上げた篠田の部屋には明かりがついていた。 それを期待して来たのに、目の前にすると足が震えるほど緊張してきた。 安堵と不安がない交ぜになったまま、エレベーターに乗り込む。 ドアの前では一瞬躊躇したけれど、この勢いを止めたらもう二度と行動を起こせないことを自覚していたから、息を止めてベルを押した。 篠田は一人だろうか? 不意にこの状況の恐ろしさに気付いて怖くなった。 今まで篠田と過ごした夜はいつも金曜だったから、きっと今日も大丈夫だと安易に来てしまったけれど。 誰かいたら? どうやってごまかすの? 弱気になりかけた時、カチッと内鍵を外す音がしてドアが開いた。 「……先輩」 外廊下の照明がドアで遮られ、逆光で篠田の表情はよく見えなかったけれど、かなり驚いていることは声で分かった。
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