素肌を彼に

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突如塞がった視界。 私は息も止まるほど強く彼に抱き締められていた。 「…どうしてめちゃくちゃにするんですか」 呻くような声と同時に篠田の腕が緩み、顎をすくい上げられた。 一瞬、二人の視線が絡み合う。 「俺の気も知らないで」 その言葉の意味を尋ねようと唇を開いたのに何も言えなかったのは、強く塞がれたから。 荒々しいキスはすぐに優しいものに変わった。 頬を掴む手が首筋へとやわらかく移り、深く深く、重なりを引き寄せられる。 奪うのでもなく、 誘うのでもなく。 求めてくるようなキスが切なくて、胸が甘く締め付けられた。 私も腕を伸ばして彼にすがりつきながら、手にしていた傘がカシャンと音を立てて床に倒れる音を遠くに聞いた。
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