素肌を彼に

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「今週末にも返事を聞かれるんじゃない?二ヶ月しかないんだし」 「…そうよね」 「もう木曜日だよ」 「わかってるわよ」 ぐちゃぐちゃした気分でまたカタカタとキーを打ち始めたけれど、梨香子はまだ続けた。 「美紀は片桐君一辺倒だったけどさ、課長、超もててたよ。 二ヵ月だし気楽に乗っちゃえば? 私ならフラッといっちゃう」 「相原君に言いつけるわよ」 頭では分かってる。 課長が最高の相手だってことも、 早く決めなきゃいけないことも。 「明日、もし課長に誘われたら私達より優先していいからね」 「明日はないでしょ。 米州部、今すごく忙しそうだし」 明日の夜は同期の美香など古株女子仲間と女子会の予定だ。 「ねぇ梨香子。この話、まだ美香達には内緒にしておいてね」 周囲から追い詰められたら、 もう後戻りできなくなるから。 そんな風には流されたくなかった。
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