素肌を彼に

8/29
前へ
/29ページ
次へ
「……おはようございます、片桐主任」 入り口に立つ篠田の顔は普段と同じ無表情だけど、なぜか不機嫌だと分かった。 「ああ篠田君、久しぶり。 今、米州部忙しいんだって?」 篠田は素っ気なく返した。 「羽鳥課長が探してましたよ、片桐主任を」 「え、本当?行かないと」 腰を上げた怜が出ていきかけて、私の方に振り向いた。 「そうだ。今晩、空いてる? 経企室の飲み会があるんだけど」 「ああ…今晩はダメなの」 「そっか。また声かけるよ。 じゃ、後でね。 篠田君、ありがとう」 怜の出ていった休憩室に微妙な沈黙が落ちた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2681人が本棚に入れています
本棚に追加