素肌を彼に

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「…篠田君」 沈黙に耐えかねて先に口を開いたのは私。 「あの…小椋さんのことだけど」 ちょうど自販機の方へ踏み出しかけていた篠田が不機嫌そうな目で振り返った。 「篠田君のくれたアドバイスを考えて、私なりに実践してみたの」 聞きたいのは先週末の小椋さんとのこと。 「ほら、自発的に頑張りたくなるような薬入のアメって」 でも、とてもいきなりは聞けなくて、会話の取っかかりを探した。 「彼女、雑誌の取材対応をずっとやりたがってたから、一度任せてみることにしたの。広報に掛け合って」 昨日の夕方、広報室から小椋さんに正式に連絡が入り、案の定、小椋さんは有頂天になっていた。 ふわふわしている小椋さんを捕まえて、取材時の受け答えについて事前に擦り合わせしておきたいと陰でこっそり話をしたのだけど。
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