さよなら、一番好きな人

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「さらに悲しいことにさ、年食うと守りに入っちゃって告れないのよ。愚図と百も承知だけど」 まさに今の私だ。 「だって逃げ場ないじゃん? 三十路女が自力でご飯食べていくための貴重な職場なんだからさ、赤恥かいても此処しかない訳よ」 「まったくよ」 率直すぎる言葉に吹き出した。 「まあ別の相手でもそれなりに幸せになれたと思うんだよね。 女って臭いものにフタできる現実的な生きものじゃない?」 「うん。男より強かよね」 「でも結局、私には無理だった。 それが出来る器用な女と、そうでない女がいると思うんだよね」 「……」 「要は、美紀らしく生きられる道を選べばいいんじゃないかな」 「急に大雑把にまとめたわね」 「うん。なんか言ってることが意味不明になってきたから」 笑いながら梨香子がキャベツを頬張った。 「もうキャベツにも飽きたわ。 飲み会なのに」 最近は体重がオーバー気味らしく、産院で叱られてからは野菜と豆腐ばかりらしい。
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