さよなら、一番好きな人

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「美紀らしくって、それ怜にも言われたのよ」 「片桐君が?余計なお節介だね。 みっともなくメロメロなくせに」 「梨香子もじゃないの」 「そうだった」 梨香子が少し目立ってきたお腹を幸せそうに撫でて笑った。 「ついて行くのも行かないのも、どっちも正解なんだと思うよ」 「……」 「ただ、一つだけ。 美紀は小さくまとまってるタイプじゃないと思う」 梨香子は真面目な顔で箸を置いた。 「たまに休みたくなることはあってもさ、女の弱さはあってもさ、美紀の本質は受け身じゃないよね。 常に何かに挑む生き方っていうのかな? それを理解して見守ってくれる相手と幸せになって欲しいな」 「見守ってくれる相手か…」 「いや、もちろん一人でもね」 考え込んだ私を見て梨香子が慌てて手を振った。 「また取って付けたような台詞」 「はは、だって責任重いし。 どうしろなんて言えないよ」 梨香子の七色発言を笑ってから、感謝を込めて微笑んだ。 「ありがとう、梨香子。 余計迷ってきたけどね」 あと一週間。 そして明日。 けれどそれを迎える前に、篠田との思わぬ遭遇が待っていた。 ただし、邪魔者付きで。
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