さよなら、一番好きな人

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「いやー、オレ初めてだ、女王様と飲むの!宴会抜きで!」 「その呼び方やめて…」 オーダーを取りに来た若い男の子の前では恥ずかしくて下を向く。 「亀岡先輩はここによく来るんですか?」 どう答えればいいのか、思わず篠田の顔を見そうになったけれど、その前に小椋さんの刺さるような視線を感じて我慢した。 「うーん…久しぶり、かな。 中野君達はよく来るの?」 「いえ!俺達は初めてです。 篠田が抜けたのをコイツが追いかけて、それで俺が追いかけて」 酔っ払いの説明でも何となく状況が目に浮かぶ。 「篠田の危機に止むを得ず」 「中野君、ウザすぎ! この間も篠田君にくっついてさ」 「それお前だろ」 「絡み酒ひどいしさ。 元カノが婚約したからってグジグジしちゃって」 「んなことペラペラ喋らんでも! 先輩の前でかっこわりーだろ」 「自分もあちこちで喋って歩いてるじゃん」 「お前ら、うるさい」 篠田がうんざりした様子で口を挟んだ。
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