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「そうだよ、篠田は静かに飲みたがってんのに」
「中野君のが煩いし」
どっちもどっちの二人に苦笑しながら届いたグラスに口を付けた。
「…あ。先輩のお酒、綺麗な色っすね!なんてヤツですか?」
「えーと…」
篠田が居るのに、ついまたあのお酒を頼んでしまったのが未練を晒すようで恥ずかしい。
中野君の据わった目に負けて、少し気恥ずかしいネーミングを渋々口にする。
「…パルフェ・タムールっていうらしいの」
「へぇ…完璧な愛、かぁ…」
フランス語が出来る中野君はすぐに意味を理解したけれど、目に見えてがっくりと表情を曇らせた。
「…俺、まだダメかもしんねぇ」
「ヤダ!また中野君の鬱々が始まっちゃう」
「うるせぇ」
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