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コホンと、一度咳払いをしたあと、彼女の髪に指をかけ、そっと撫でて、こちらを向くように促すと、より近い距離で息づかいを感じる。
暗がりのせいか、見つめ合っていても彼女の動揺をさほど感じず、相変わらず肌触りのいい髪の毛を、何度もすいては撫で、すいては撫でを繰り返す。
「武石くん……私、武石くんがこうやって撫でてくれるだけで、胸がいっぱい…です。」
「……」
「初めて一緒に添い寝してもらった日から、本当は武石くんの添い寝は特別だったのかもしれない…誰かにお母さんのことを話したのも初めてだったし…一緒にいることで、安心していられるのは、ここだけ…」
「………」
「武石くん……私、武石くんのことが大好きです。ぶっきらぼうだけどほんとは優しいとこも、私と同じで家族の温もりに憧れているとこも、一緒にご飯つくってくれるとこも……全部、大好き」
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