第10章

9/16
965人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
パチン…と何かが頭の中で弾けた音がした。 ただ夢中で、青柳さんの唇に自分の唇を重ねながら、時折漏れる甘い吐息に、我を忘れる。 スルスルと撫でるように触る柔い肌に、興奮を覚え、気付けばお互い何も身につけていない。 「……ごめん、余裕なくて…」 「………!」 少しだけ驚いた顔をしたのを見ながら、さらに口付けを深くした。 掌にあたる感触は、どれも柔らかくて、どんどんと理性を飛ばしていく。 青柳さんの甘い声が耳のそばから聞こえて、さらに我を忘れる。 こんな風に夢中に誰かを求めた経験がなくて、余裕のない俺を庇うかのように、髪の毛に触れられた指先にさえ、感じずにはいられない。 「…………ん」 身体中によせる口付けの嵐に、甘い声が脳内に響いて、一瞬の隙間のないぐらい、お互いきつく抱き合った。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!