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お願いごとをするように、背の高いじょうくんを見上げると、ポリポリと頭をかきながら、ちょっと照れた顔を見せた。
「お母さんの手って魔法だと思わない?」
「どういうこと?」
眉間にシワがよるも、表情はとても柔らかい。
「お腹いたいときなでてもらうと、不思議と良くなるでしょ?お母さんの手で自分の手を握ってもらうと、元気がでるし、いっつも不思議だなぁって!」
「うん……それが千代の母親像なんだ…?」
「千…」
どさくさに紛れてさら~っと聞き流しちゃったけど、じょうくんのさりげない『千代』に、心臓がきゅーっと音をたてる。
「私の中でじょうくんの存在も魔法かも…」
「それって…どういう意味?」
「私のことを簡単に幸せにできる魔法使いってこと。」
ギュッと握る手に力が入れられて、また、私は幸せの魔法にかけられる。
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