969人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもは言葉少ないじょうくんが、堰を切ったように話しはじめ、私はそれを一語一句見失わないように、その声に耳を集中した。
「実際、どんな気持ちで母親が俺のことを受け止めてたかわかんないけど…けど、やっぱ今でも思うのは愛されてたんだよなーってこと。親って、見返りとか期待しないんだろうな。ただ、純粋に注げるだけの愛情を与えてくれる。…いつか俺もそれを理解できる時がくるのかな…」
「…きっと、親になったらわかる時がくるんだよ。私もじょうくんも…」
そっと手を握ると、さっきまで遠くを見ていた視線を足元に移したじょうくん。
「千代といると、不思議と安心する。そばにいる温度がちょうどいい。笑った顔をみると抱きしめたくなる。そばにいて、抱きしめてるのは俺なのに、抱きしめられてる気分になる。今の俺にとっての唯一の存在…っ」
「……っ」
ストレートすぎる告白に、私は多分耳まで真っ赤だ。
最初のコメントを投稿しよう!