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それから、私の頬に長い指を沿わせて、顎をつかんで上向かせた。
顔が近づいてきたと思ったら、いきなりキスされた。
同時に口内に流れ込んできた、甘くてどろりとした液体。
受け止めきれずに、口の端から流れ落ちていく。
垂れたチョコを、熱い舌が追いかけてくる。
ちゅっと、リップ音を立てて、唇が喉から離れた。
観察するかのように冷静な先生の顔を見つめながら、口の中に残る甘い液体を飲み込んだ。
たったそれだけのことなのに、頬が熱くなって、瞳が潤む。
「催淫効果は、あながち嘘でもなさそうだ」
チョコに酔わされたのか、この男に酔っているのかなんてわからない。
私は、勢いに任せて抱きついていった。
「はっ! 盛るなよ。チョコならいくらでもやるよ」
そう言って、鷲づかみにしたチョコを渡される。
違うのに。
欲しいのは、これじゃない。
悔しさをぶつけるように、もらったチョコをむしゃむしゃと食べ始めた。
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