千佳

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彼氏にあげる手作りチョコが、うまく作れない。 なんて、幸せな悩みだろう。 私と違って、純粋で、まっすぐで。 普通に両親に愛されて、普通に恋をして、普通に生きていたら。 私もあんなふうになれたのかな。 そこまで考えて、首を振る。 千佳くらい綺麗だったら、男なんてよりどりみどりでしょ? 私は、特別綺麗じゃなくてもいい。 普通で良かったのに。 「キレイだね」「かわいいね」 男たちが私を見る目は、女の子を見る目ではなかった。 欲望の対象としてしか見てもらえない自分。 私は、穢れている。 男たちを嫌悪しながら、その刺激から逃れることができない。 慣らされた身体は、心なんて関係なく勝手に反応する。 もう、誰でもいい。 この渇きを鎮めてくれるなら。 ひと時だけでも、愛してくれるなら。
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