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「ほら、お子様は帰る時間だ」
無理やり私をタクシーに詰め込むと、頭を撫でる。
思いっきり子ども扱いされて、顔をしかめた。
疼く体を持て余し、次の日の放課後に向かったのは、理科準備室。
あの男の言うとおりにするのは癪だけど。
口止めするためにも、一度訪れる必要があった。
ノックしても、返事の返ってこない部屋。
いないと思ってドアに背を向けたとき、突然開いた扉から部屋の中に引きずり込まれた。
「やめてっ!」
悲鳴のような声は、男の手のひらに吸い込まれて消えた。
体ががちがちと震える。
腰を押さえつけられて、身動きができない。
部屋の中は、カーテンが閉められているのか真っ暗。
これは、まるであの時みたいで。
「イヤ、イヤだよ。お義父さんっ!」
パニックになった私は、思わず禁忌の言葉を口にした。
「・・・そういうプレイは、好きじゃない」
解けた拘束と、落ち着いた男の声に、ここがどこだったのか思い出す。
「深く息を吸って、吐くんだ」
過呼吸になりかけ、うまく息が吸えない私を、ゆっくりと誘導する。
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