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◇
「最近、よくキモ田のところに行ってるよね。何してるの?」
「手伝い」
「ふぅん? 千佳って物好きだったんだね」
先生の正体なんて、誰も知らなくていい。
一緒に過ごす時間が楽しいなんて言っても、誰にも理解できない。
気づけば夜の街に出かけることもなくなっていた。
クスクス笑いながら、今日も準備室に向かう。
「先生、惚れ薬ってあると思う?」
「あん? 何でそんなこと聞くんだ?」
「欲しいなって」
「そんなもん、何に使うんだよ」
「内緒」
「・・・そうだな。例えば、これ」
机の引き出しから、取り出したのはチョコレート。
四角形のそれを、口に放り込むと、じっとその様子を見つめていた私に近づく。
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