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「・・・殺しましょうか」
泉さんの独演を遮るように発せられた、一言。
その異様な気配に、ハッと、全員の視線が声の主に集まる。
体育座りをした自身の膝に、ちょこんと顎を乗っけた地縛霊・・・じゃなかった。
無表情で、血の気も生気も感じられないが、辛うじて生きている・・・渡良瀬川兎子さんこと、小川さんに。
「オガア!貴様、早まるなアッ!!人の心を思い出せエエエエッ!!」
「・・・ぐ・・・っ」
激しく取り乱した金髪元ヤン風主婦に両肩を掴まれ、前後にガクンガクンと揺さぶられる首。
「ちょ、ちょっと!!死んじゃう、小川さんが先に死んじゃう!!」
「離せ、幸イ!!」
「・・・って、アア、小川さんっ!?」
私を振り払おうとして、離された鈴木さんの手。
弾みで投げ出され、バタン!!と仰向けに倒れた小川さん。
青を通り越して、もはや紙のように真っ白な肌。
紫色の唇。
眼鏡の奥の目は大きく見開かれ、その体はピクリとも動くことはない・・・
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