エピローグ

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  「匠さん、汗を落とさねえでくれよ」  仁に口辺を上げられて、司が挑戦的に笑う。仁に出来たものが司にできないなど、沽券にかかわるらしい。  肩繰りから龍の鱗を羽根彫りに、赤い眼を突き彫りにして、少しずつ龍が息を吹きかえす。仁の(さば)きは早く、休む間もない。ようやく前が終わったあと、色をのせたままうつ伏せになるわけにいかず、肌掛けに隠して司を一旦引き抜いた。  仁は相変わらず涼しい顔で、欲望をコントロールしている。アズは堪りかねてか、トイレと呟き席を外した。 「忍はやっかいだろう」  仁が意味深な台詞を吐くと、司があからさまに嫌な顔をする。そうして仁が針を変えている間に、司が胡坐をかいた。  前が終わり、背中の毘沙門天へと筆が移る。うつぶせのままではやれず、司に抱きつく姿勢で座位をとった。忍が司のそれを跨いで、竿を支えてからじりじりと腰を落とす。勝手に蠢く内壁がうらめしい。 「忍さん、平気か?」  アズが戻る少しの間、休ませてもらおうと司の肩口に頬を預ける。浅い呼吸をして後孔を意識しないようにしているのに、司の脈をなかに感じて頭を横に振った。 「もう…───」  さんざん抱かれたはずなのに、忍の躰はたがが外れたようにもろかった。
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