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そのまま二階の部屋まで運ばれ、合鍵で中へと入った。
火照った躰をベッドへと下ろされる。胸も背中も熱いせいか楽な体勢を探して枕を抱えて赤ん坊のように横になった。
司も痛みを知ってか、そばにいて髪をずっと撫でてくれる。熱を帯びていたせいか、それは氷枕よりやさしく忍を冷やしてくれた。
「肩んとこ、つれえか?」
銃創痕はなくなったが、薄い肌に針を突いたのだ。通常の痛みの比ではなかった。ふつうに歩けるはずが、立った瞬間めまいがした。
「横になってれば、時機、楽になるよ」
司はベッドに片肘をついた状態で、忍の隣で寛いでくれている。
「あんときゃあ肝が冷えたしな。戻ってよかった」
忍が撃たれたときのことを廻らせたのか、司が眉を寄せながらつくり笑いを見せた。こんな顔をさせてしまったことがやるせなくてかぶりを振った。
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