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「ちょっと頑固な所があるでしょ?」
「恋愛には一途なタイプね~」
辰子が理央ちゃんの手相を見ながら口にする言葉に、いちいち、「すご~い、当たってる~」と反応していた。
理央ちゃんが辰子を尊敬の眼差しで見つめる。一通りの手相を見た所で、理央ちゃんが、
「あの、今、好きな人がいるんですけれど……告白したら上手くいくと思いますか?」
瞳をキラキラさせながらそう訊ねた。
いきなり何、言い出すんだこの子は!?思わずパイプ椅子ごと後ろに倒れそうになった。
辰子は驚いたような顔をして、ちらりと横に座る俺を一瞥した。その後で、理央ちゃんの右手を優しく握り、真っ赤な紅を乗せた口角を引き上げて、言った。
「そうね、そのかわいい笑顔で告白したのなら、きっと成功するわ」
「本当ですか?きゃ~、頑張ろっ!」
理央ちゃんが今日一番のテンションを見せる。
……この喜びよう……まいったな……告白はせめて、男の俺からさせてくれよ。顔がにやけそうになるのを必死で我慢する。
「ありがとうございました」
丁寧にお辞儀をして、バッグから財布を出そうとする理央ちゃんを、ここは俺がと遮った。
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