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後ろから頭を殴られたような衝撃に、目がチカチカしてきた。
「井戸ってさ、男の子なんだけど、何か2人でいても女友達といる感じなんだよね~、気兼ねしないっていうか。一星くんと仲いいから、井戸に訊けば何でも一星くんのこと教えてくれるし」
それは褒められているのだろうか?少なくとも恋愛対象外だということは解った。そう思って、過去のLINEでのやりとりを振り返ってみると、確かに、一星に絡んだネタが多かった気がする。
気付かなかった俺がバカなのか……恋は盲目、恐ろしい。
「これ飲んだら、もう行くね。占い師の人にも言われたし、思い切って今日、告白しちゃおっかな」
きゃ~、どうしよう?と理央ちゃんは両頬に手を添えてはしゃいでいる。デジャブだと思ったら、俺もさっきまでそんなことを考えていたなと思い出した。
その思いは伝える前に自爆したけれど。
「じゃあ、井戸も理央の恋を応援してね!」
「うん、ガンバ、ガンバ!」
バッグを右肩に掛け、一足先にフードコートを出る理央ちゃんに、ジェスチャー付きでそう声を掛けていた。
「頑張る!ありがとう、井戸ってホント、いいひと!」
理央ちゃんは手を振り、足取り軽く雑踏に消えて行った。何がガンバだよ。阿佐ヶ谷姉妹か、俺はっ!……だせぇよ、ダサすぎるよ……俺。
理央ちゃんが残していったコーヒーカップを見つめながら項垂れた。
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