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「___で、今どこにいんの?」
「え?……どこって……公園?」
「はぁっ!?」と電話越しから相手の苛立った声がした。手にした携帯を、思わず耳から遠ざけた。
「横浜界隈にどんだけ公園あると思ってんだ?公園名くらい、教えろよ」
「名前って言われても……」
海が見たくなって、ぼんやりと歩いて来たら、ここに辿り付いた。××公園と書かれた門を越えて来た訳でもないし。何か目印になりそうなものと辺りを見渡した。
「目の前には海が見える」
「……結構な数の公園、海沿いにあるんだけど?」
確かに、そうだよなと同意する。電話越しに、呆れたようにふぅと溜息を吐かれた。他に何か特徴的なものを探す。
「海の向こうに風力発電の風車みたいなのが見えるな。右の方、ずっと奥に見えるのって……ベイブリッジだっけ?大きい橋がある……あぁ、そう言えば、来る途中に桟橋があった。シーバスの船着き場になってたかな?……あとは……あ、観覧車のとこ通った……あとは……」
よいしょと立ち上がって後ろを振り返ると、広大な芝生が広がっている。芝生は緩やかな向斜になっており、中腹辺りにガラス張りの売店が見えた。その奥に見えるのはビル街で、どの公園にも共通していそうな光景だ。
「みなとみらい駅?」
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