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ロック沢さんの澄んだ高音が心に沁みる。北リバーさんの笑顔は男の俺からしても、惚れてしまうんじゃないかと思うくらい爽やかだ。
そして2人のハーモニーがとてつもなく好きだ。楽しそうに歌を歌っている姿も、汗だくで舞台を駆けずり回っている姿も、テレビで見るよりも、実際にそのライブに行って臨場感を味わえば、どんな人でもたちまちその魅力が伝わる。
生歌を聴いて感動してから、毎日のように彼らの楽曲を聴いている。
傷ついた今の俺を癒してくれる曲は……画面をスクロールして、曲を選ぶ。
「桜木町」
2004年に発売された彼らの20枚目のシングルで、その年の1月31日に廃止された、旧東急東横線桜木町駅への思い出を織り込んだ楽曲だ。
イヤホンを両耳に押し込み、曲を再生させる。
彼らが青春時代によく来ていた桜木町での思い出と、切ない別れを歌った曲だった。歌詞がさっきまでの俺と理央ちゃんの姿に重なる。
それでも、頑張れ、前を見て歩こうと背中を押されているような気もしてくる。
ロック沢さんの声、やっぱり沁みるなぁ……何だか、泣きたくなってきた。
こんな晴れた日の午後に成人を迎えた男が、1人、海を見ながらおいおいと泣いていたら、変な目で見られるだろう。俺はぐっと目頭を押さえた。
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