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少し間があいて、そう訊ねる。俺はうんと頷く。
「ったく、先に降りた駅言えよ。パシフィコ横浜の裏手の臨港パークだろ?」
「パシフィコ?」
何だっけ、それ?
「その辺に半月型のホテルがあっただろ?大体の位置は解ったから、近くになったらLINEするわ。とりあえず、その辺から見える景色、何枚か写メって送っといて」
半月型の建物……ランドマークタワー、コスモワールドの大観覧車と並んで、「THEみなとみらい」のシンボル的なやつね。
「あのさ、……ありが……」
お礼を言う前にすでに電話は切れていた。相変わらず、素気ない奴だ。画面を撮影モードに切り替え、その辺に見える景色をカメラに収める。
メール送信の確認をすると、携帯をボトムの尻ポケットに突っ込んだ。ふぅと溜息を吐くと、再び階段に座り直し、目の前に広がる海を見つめた。
臨港パークね。確かに、砂浜の広がるお台場の公園と違って、石畳の遊歩道の先はもう海だ。
安全面を考慮してか胸の辺りまである柵が、ずっと奥の方まで沿岸に連なっているけれど、覗き込めば足元の壁面に当たって砕ける波飛沫が見える。
手を伸ばせば届きそうな位、海が近い。11月の寒空の下では、そんな事しようとも思わないけれど。
まさに、横浜港を臨む公園だなと納得する。水害を防ぐための護岸が広めの階段状なっており、桟橋の辺りから端まで続いている。
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