いいひと。

6/36
前へ
/36ページ
次へ
ジャニ系で爽やかボーイの一星(いっせい)だ。すでにモデルとして人気のあるSyunpeiと比べると多少見劣りはするけれど、たぶん一星は同じ学科の中で一番カッコイイだろうと俺論を掲げる。 その証拠に普段はブスッとしながら黙々と授業を受けている女子共が、一星が話し出すと聞き耳を立てて、注目しているのが解るし、実習用の油まみれの汚いツナギも、一星はさらりと着こなす。爽やかな笑顔で写真に収まるのであれば、そういう写真集に見えなくない。 「おーい、井戸(いど)!」 しかも一星は気さくな性格だった。入学した当初から、一星は俺を目に掛けていて、何かにつけて俺の名前を呼ぶ。気付いた時にはもう、一番親しい友達になっていた。 俺ってイケメンに好かれる体質なのかな?もちろん、友達としてだけど。今を輝くモデルのSyunpeiだって、高校の同級生で一番仲が良かったし、上京してからも今度は一星が現れた。 一星と一緒にいることで、クラスでも目立つグループにいられるのだ。 「井戸ってカラオケ好きだったよな?」 ネット掲示板で見つけたカラオケサークルに参加してみようと、一星に誘われたのがきっかけだった。 開催場所:東京都内 対象年齢:10代後半~20代前半の男女(高校生不可) 歌はヘタでもカラオケが大好きな人募集! 訊けば一星はこういった掲示板をよく利用しているらしい。「飲み友達募集!」とか「みんなでBBQ」とか。初めは騙されて金だけぼられるんじゃないかと半信半疑だったらしいけど、参加してみたら楽しくて、学校以外でも友達が出来、交流の場を深めているらしい。 一星が俺と同じ地方からの上京組で、東京に知り合いが少ないはずなのに、交流関係が広く、「彼女」が絶えることなく常にいる理由が判明したというワケだ。 俺は二つ返事で快く誘いを受けた。むしろ、そんな楽しいサークルのサイトがあるなら、もっと早く教えて欲しかったとぼやいたら、
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加