いいひと。

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「何回か誘ってたけど?結局、来なかったじゃん、井戸」と拗ねた返事が返ってきた。 え?そうだっけ? そういえば……「フットサルやろー」とか「山中湖のフェスいこー」とかそんな内容のメールを受け取ったことがあった。唐突な誘いだったから、別の予定があって断わってたけど……でも、誘ってくれてたのかとちょっと嬉しくも思い、「そうだったんだ、ゴメン」とすぐに謝る。 そして、「今度は必ず行くよ」と約束した。 カラオケサークルは数週間後、渋谷にて行われた。 タイムスケジュールはランチを食べてから、一同カラオケに移動、5、6人の小グループに分かれてカラオケを楽しみ、その後は各自解散。もちろん気の合う人がいれば、その後の交流は自由らしい。 一応、イベントを仕切る掲示板サイトのスタッフが幹事として数名、行動を共にする。参加者は俺たちみたいな学生を始め、社会人、フリーターなど、同年代の若者が20名近くが集まった。 ランチの会場でたまたま同席になったのが、理央ちゃんだった。理央ちゃんは同じ女子大に通う友人に誘われて、このサークルに参加したのだという。こういったサークルに参加するのは初めてらしく、初心者同士の俺たちはその場で意気投合した。 理央ちゃんはかわいい女の子だった。肩にかかる位の髪はライトブラウンで、ふわふわのパーマが掛かっていた。肌が透き通るように白くて、頬に丸く乗せたピンクが映える。笑うと両頬にえくぼが出き、理央ちゃんこそが地上に舞い降りた天使だと思った。 要するに好みのタイプ、ドストライクで一目ぼれをしてしまったのだ。 そのサークルの参加がきっかけで、俺たちは連絡先を交換し、そのイベントとは関係なく、その後、気のあったメンバーたちとたまに集まり、「カラオケ会」を楽しむようになった。
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