終幕【とある青年(いのち)の物語】

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「それは交渉のつもりかね、ローグ君」 そして続けて、 「ミケドラ、エルステン、さゆぽん、アマネサユキ、ルーシェん・・・・必要ならば全ての名前を伝えるが、これらに心当たりが無いとは言わないだろう、ローグくん」 直ぐにローグの狂笑が止まる。 「それが【人の痛み】に対するせめてもの償いと成り得るかは解らないが、私は・・・・我々は甘んじて如何なる処分も受けるつもりだ。その責任を負っているのがゲームマスターである以上は、な」 再び歯軋りしながら、石畳を掻きむしるような様子を見せるローグ。 「だからこそ、君にも相応の報いが待つ事を覚悟して貰おう。もう一度言うが、君はもう終わっているのだよ。リトワールでも、現実に於いても」 「ヴィ・・・ヴィセルディアン・・・・マルクルス────ッ!!」 悔しさと屈辱感にまみれた叫びを上げるローグに、そして高貴な衣装に身を包んだ貴族はすうっと片手を挙げると、背後に居並ぶ紅騎士団が一斉に狙いを定め、弓を引き絞る。 その手を下ろすと同時に放たれた無数の矢が、爪が肉に食い込み血を流すかと思われる程に、強く拳を握り締めたローグの身体を容赦なく貫いた。 【シュンツァイ】 HP:0/11100 瞬間、何かを絶叫したアバターの動きが止まり、漂う霧と同化するように呆気なく消滅したのだった。
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