第1章

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秋すさぶ‥冬の風が交わる季節‥ 人恋しくなる‥ いや、正確には人肌恋しくなる‥ 「何、浸ってんだよ‥」 ペシリと後頭部を叩いて現れた、同じクラスの宮原を見上げ、見られて居たかと頬を掻いた。 「なぁ、秋って 寂しくなるよな?」 電車の中は至って寂しくも無い、年中変わらぬ景色だが‥ 今日は何だかそんな気分だった。 「あ?あぁ、そうね‥」 (聞いてないよな?絶対に‥) 耳に然りと嵌められたイヤホンから音が漏れて、俺にまで届いてるよ‥。 並んで座った宮原に溜め息を吐いて、視線を上げれば前の席に座っていたお姉さんと目があった瞬間、慌てて顔を伏せた… (ふーーん…まぁまぁかな‥) 値踏みするみたいに足から視線を上げて彼女を見上げ また、目があう‥。 とりあえずの笑顔を投げる (78点かな‥) 60点以上なら許容範囲。 後は、相手次第‥ 別に此方から声を掛けはしない。
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