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家では殆どを独りで過ごした‥
最初はこんな性格では無かったが、中学に上がる年、初めて夜の街に出てみれば‥
騒がしさやら、人混みやらに何故だか心が、落ち着いた。
たまたま、その時俺に声を掛けたのがユズルさんだった。
「お、キレーな餓鬼が家出してんぞ?」
まだその時、20代後半だったであろうユズルさんは既に水商売の店を三軒経営しているやり手だった。
「家出じゃないです」
随分大人に見えていたのを覚えている…
「退屈か?…なら、うちに来いよ‥」
その誘いが、俺の人生を変えた。
店の裏手でユズルさんを盗み見て、どうすれば相手を喜ばせられるかを学んだ。
今なら解るが、ユズルさんの店はホストにすがる女性の為の店だった。
そつなく愛を満遍なく配るユズルさんに憧れに近い何かを見出だし
居座り始めた俺をユズルさんは弟だと可愛がってくれた。
中学1年の冬、ユズルさんの何人かの彼女の一人に誘われた。
「‥ユズルさんが‥」
まだ、汚れない俺を誘ったのはマコさんと言う‥当時、近くのキャバクラでNo.1の女性だった、
「‥ユズルだって、君ならきっと、ゆるしてくれるわ‥ 」
甘い匂いに誘われるがまま‥
俺は裏切りと嫉妬と快感に揺すられ
いつしかマコさんに想いを寄せた。
幼い俺は未熟だった、ただの暇潰し‥
ユズルさんへの当て付けに気付きもせずに、マコさんに見合う男に成りたいが為、ユズルさんから沢山の物を吸収し‥
「最近、ユズルに似てきたね?」
そんな言葉を鵜呑みにした。
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