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恋をした。
気付いたのは姉・灯火との会話のなか。
正確には。
「あのね、燈。私…好きな人ができたんだ。」
そう言った姉に、
「へぇー!あ、『恋』ってどんな感覚なの?」
と、聞き返したこと。
その時の会話は。
「えーと、ね……」
うん。
「まず、その人のことがずっと気になるの。」
ふむふむ
「で、その人のことが頭から離れなくなるの。」
ふむふ…む?
「それで、その人に名前を呼ばれたりしたら嬉しくなるの。」
う…ん?
「でね!その人と話したりするだけで幸せになるの!」
………!
「……ありゃ?どうしたの燈?」
「へ?あ、いや、何でもない。……良かったね、好きな人出来て。」
……思わず黙り込んだ僕に、不思議そうな顔を向けてくる灯火。
それに笑顔で「なんでもない」と返す。
「うん!あ、っと…そろそろ帰らなきゃ!」
「あ、じゃあ急いで済ませちゃお。」
そのままの流れで日課に入る。
「じゃあ…今日は灯火が先で。」
「わかった。」
お互いの才能で才能を中和する為の吸血行為。
その最中も僕は考えを巡らせていた。
――やっぱり、僕恋したんだ。
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