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直ぐに昇降口に辿り着く。
やや薄暗くなってきた外を見ながら立つ先輩に駆け寄り、
「先輩、遅くなってごめんなさい」
声をかける。
「いや、大丈夫だ……よ?」
僕の声に反応して振り向いた先輩が驚いた顔で硬直する。
「えっと……零くん、何で男子制服なの?」
と、聞いてきた先輩に。
「あ、その……」
急に“この先”に踏み込むのが怖くなり、目を反らしてしまう。
先輩が首をかしげる気配がして。
何かを言わなきゃ!と焦った僕は。
「えっと…えっと…あの、僕は男だし、普段女の子の格好してるから違和感あるかも知れないけど、大事な話だから……男子の格好に戻ったの。」
思わず、テンパって意味がわからない台詞を吐き出してしまう。
「んー…つまり、零くんは俺に大事な事を言うために男子の格好を……正装になってきた。って事だよね?慌てなくて大丈夫だから、ゆっくり話して?」
でも、言いたい事の要点を纏めつつ、然り気無く僕を慰めてくれた先輩に。
益々胸が高鳴って。
「じ、じゃあ……言います。」
そう告げて、軽く深呼吸。
そして。
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