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「乱取り模擬戦勝者、四番隊千冬副隊長!!」
その瞬間、「きゃぁぁ!!」という黄色い声があちこちから上がる。
床で這いつくばるようにして、のびているその他大勢の男達と私。
そんな男達と私を見渡し、二本の警棒をクルリと軽々回す千冬副隊長。
再び、黄色い声が上がり、千冬副隊長の周りに若い女性がたむろする。
「千冬様ぁぁ!! これ、蜂蜜レモンです、食べてください!!」
「千冬様!! タオル、使ってください!!」
千冬様千冬様連呼する黄色い声達――。
倒れている私の背中を誰かが踏みつけた。
「ぐぼぇ!!」
変な声を出すと、黄色い声の中から罵声が飛んできた。
「ちょっと!! いつまで寝てるのよ!! 千冬様が歩くのに邪魔になるでしょ!?」
踏んだり蹴ったりとはこのことである。
黄色い声と千冬副隊長の声が私から離れていくと、先輩の男性隊員がそろそろと近づいてきた。
「……生きてる? 源之助君?」
「……生きてます、一応」
それだけを言うのが精一杯で。
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