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そんなことを思っていると、違う場所から黄色い声が飛んできた。
「きゃぁぁ!! 荒絹隊長ぉぉ!!」
「素敵ですぅぅ!!」
――出た。
女性人気ナンバートゥー。
四番隊隊長荒絹――
『死番の荒絹』
千冬副隊長と同じように、乱取り稽古で男性隊員を容赦なく叩きのめし、肩で息をしている。
そんな荒絹隊長に千冬副隊長が近づいてきた。
「隊長、手合わせしてもらっていいですか?」
「……副隊長、元気ね」
「だって、物足りなさすぎですもん。隊長相手の方が実戦向きですから」
荒絹隊長が苦笑しながら、うなずく。
再び、黄色い声。
見ながら、私は思う。
何かが間違ってるけど――
萌える――と。
二人の女性と、黄色い声――。
シチュエーション的に萌えるな、と。
そこまで考えて――ハッとなる。
萌えてることがバレたら――千冬副隊長と荒絹隊長とそのファンに叩きのめされるかもしれない。
私は人知れず呟いた。
「やべぇよ、やべぇよ!!」
――と。
【完】
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