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2月になった頃、両親は死んだ
不慮の事故だった
商売敵に殺されたとかいろいろ噂が飛び交っていたけど
私は涙などはでなかった
感情を欠落していたせいなのか、ただ両親のことは何とも思っていないのかどうなのかはわからないけど、悲しくはなかった…
…私は本当に人間なのだろうか、と思いはじめてきたのはこの頃だったな…
両親の死後、私はお父様の後を継ぐことになった
面倒くさい書類に電話…
仕事仕事の毎日…正直、うんざりしていた…
ある日、急に変わった慣れない環境に耐えきれず、私は高熱を出した
妹は学校や塾で忙しいし、ダーク君はソル君を家に置いてからはロクに帰ってこない
誰も私を見てはくれないと思っていた
家にいるのはソル君だけであったが、ソル君は虚ろな瞳でただ家でじっとしている
…私のことは何も思ってはいない、そう思っていた…
けど…
「んっ…」
部屋で寝ていた私は、何かの水音で目を覚ます
目を開けようとしたら、額に何か冷たくて気持ちいいのが当てられた
何かなと思って目を覚ましてみたら…
「ソル…君…?」
「…………」
ベットの横に、ソル君が居た
そして私の額に当ててくれたのは水で濡らしてくれていたタオル…
「これ…ソル君が…?」
「………」
ソル君は相変わらず虚ろな瞳だったけど、小さく頷いてくれた
ソル君が看病をしてくれたとは思ってはいなかった
私はソル君のことを何も思ってはいなかった
なのに私を…
「あっ…ありがと…」
私は小さな声で礼を言うと、ソル君は立ち上がって部屋を出ていった
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