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青年は少年に言った
「真実の眼を持つ守護の者よ、この世界を治めるためには其方と私のチカラが必要、其方のチカラをどうか貸して欲しい」と
しかし、少年は言った
「この世界をお前が治めても、何も変わらん
仮に治めたとしても、必ずやお前に楯突く者が出る
結果的に、イッシュの再来、もしくはカロスの戦争が起こるだろう」
と少年は否定した
少年は残酷な真実をも見通した故、人の可能性を信じる気は一切無かったのだ、だが青年は続けた
「守護の血をひく其方と、王の血をひく私なら、必ずや出来る
そうすれば、其方やあの少女のように、”大切な者を失う”同じ運命を辿る者はもう現れなくなる」と
しかし少年はそれを拒み続けた
「人間の心はどんなものか知ってるはずのお前ならわかるはずだ
時代はもう遅れてしまったのだ、どんなことしても何一つ変わらない」と
青年は自らの思いを少年に語り、説得を続けるものの少年は拒み続けた
青年と少年は手を合わすことなく、自らの意地と意思がぶつかり合うばかり時には戦いにも及ぶこともあった
それを見かねた少女は二人を止めるものの、青年と少年はお互いの主張を受け取ることは無かった
青年と少年が対立し続けて1年後、業を煮やした青年は力づくで説得するべく少年と戦いを繰り広げた
戦いでもお互い譲り合うことはなく、拒絶し合い、戦いは実に三日三晩にも及ぶ長期戦となった
二人がぶつかり合った土地は、大地の草花は焼き尽くされ、木々はなぎ倒され、岩は粉々に打ち砕かれ、天は荒れ
二人の戦いは周囲を巻き込みながら、その土地を凄まじい速さで荒廃していった
その光景はまさに、人々が野望と正義と悪が混じり合う戦い、戦争その物であった
三日三晩にも及ぶ戦い終止符をうったのは、青年と少年のお互いの身体に致命的な傷を負ったことで勝負は止まった
長きにわたる戦いは、結果として引き分けで終わってしまったのだった
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