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嘘でしょ?
「嘘だ!今日がエイプリールフールだからってそんな嘘つかないでよ!」
「嘘じゃないって。」
「だだだだだって、あのダンボールの山は!?」
「あれは全部山下先生の。」
「でも、でも……、河谷も自分の荷物整理してて……!」
「山下先生の代わりに新任の先生が来るから、席替えするんだって……。」
な、何ソレ……?
「じゃあ……、じゃあ亜紀ちゃんの質問した問題集の件は!?」
「あー、あはは。あれね。」
亜紀も自分の早とちりに呆れて笑っていた。
「河谷ね、今年度はうちらの学年外れるんだって。」
「え?」
「うん。新一年生の担任するらしいよ。だからなるべく今年度うちらが教わる先生に回したかったんだってさ。ほら、学年変わるとなかなか会えないし。」
忍はその場にヘナヘナと座り込んだ。
この数日間の悶々とした気持ちは何なの……?
決意やらなんやら……、おまけに河谷にあんな恥ずかしいことまで言って……。
「え……、亜紀ちゃん、なんで今そんな情報知ってるの?」
「ん?あー……ほら。」
え?
受話器から亜紀が離れる気配を感じた。
そしてまた別の誰かが……。
「ばーか。」
ば、ばか!?
ってか、この声は……!
「先生!?」
「早とちりは受験に失敗しますよー。」
「な……っ!」
河谷はそれだけ言うと、また亜紀に受話器を渡した。
「こーゆうこと。ホームページに名前がないの見て不思議に思ったの。だから朝一で学校来てみたら……いた、みたいな。」
ありえない。
ありえないよ……!
「河谷にかわって!」
電話の向こうに河谷の気配を確認すると忍は叫んだ。
「先生のバカ!!あたしの時間を返せ!」
「勝手に勘違いしたのは君じゃないか。俺は一言も転勤するなんて言ってません。」
こいつ……マジでウザい。
「バカバカバカバカ!!許さないんだから!」
「え?でも、俺は特別なんでしょ?俺のいじわるは許してくれるって昨日言ってたじゃん。ね?山武さん。」
「……っ!それは……!」
嫌いだ。
大嫌いだ。
こんな教師、
「大嫌い!」
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