1600人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生、サドでしょ?」
「……。は?」
「Sだよ先生。」
「違う。」
「彼女とかにもそんなに冷たいの?」
「お前には関係ない。」
やっぱサドじゃん。と小さく呟きながら忍は寝返りをうった。
カーテン越しの会話。
すごく不思議な感じがした。
相手が見えないから、あの律義なスーツ姿の縁メガネも見えない。
まったく違う人と話している感じがする。
「先生いくつ?」
「25。」
「えぇ!?藤本先生と同じなの!?てっきり40近いのかと思ってた。」
「君、それ目茶苦茶失礼だよ。俺に。」
忍はベッドを抜け出しカーテンを開けた。
先程と同じように河谷は椅子に腰掛けていた。
忍は河谷に近寄り顔をまじまじと見た。
「何ですか?」
「あっ、なーんだ。先生若いんだ。年相応、年相応。いつもスーツ着てメガネかけて無表情で授業してるから、なんか25歳のギリギリ青年期に属しているようには思えなかったんだよね。」
事実、忍の言う通り、河谷にはまだ若々しさが十分にあり、よく見るとそれなりの器量の持ち主だ。
河谷は反応に困ったように顔を俯けた。
最初のコメントを投稿しよう!